【連載】企業革新戦略−上昇志向の企業革新−

■第3回:公的支援制度を利用する−経営革新支援法について−

◆はじめに

中小企業が企業革新を行なおうとする際には、足りない経営資源を補うためにも国や地方自治体が行なっている公的支援制度の活用を検討してみるべきです。

◆中小企業施策の基本的考え方

かつての中小企業施策は、大企業と比較して経営体力に劣る中小企業が、その取引上で不利益を被らないようにという考え方から、業界団体や組合などの活動に対する援助が中心となっていました。しかし、現在では業種・業界を一律にとらえるのではなく、自助努力つまり自ら変わろうとする企業を個別に支援していくという方向に変化しています。

しかし一口に中小企業施策といっても、その施策は多岐に渡っています。では、実際に利用しようとするときにはどうすれば良いのでしょうか。私はまず中小企業を支援する行政機関の窓口に行かれることをお勧めします。行政機関と聞くと敷居が高いのではないかと思われる方もいらっしゃるでしょうが、私の経験ではどの機関の担当者も親身に相談に応じてくれます。支援制度と担当支援機関については、【経営支援情報】の【経営支援施策一覧】をご参照下さい。

経営支援情報】|【経営支援施策一覧】

なお、中小企業施策としてどのようなものが公示・公募されているかなどに関しては、中小企業総合事業団が発行しているメールマガジンが有効です。是非ご覧になってください。次のアドレスに送信するだけで、自動的に無料で配信されます。 e-join@jasmec.go.jp

◆経営革新支援法について
図1:計画承認で受けられる各種支援策

企業革新を図ろうとするときに是非検討していただきたいのが、経営革新支援法に基づく各種助成措置です。従来の中小企業支援施策はどちらかというと範囲が限定されたものが多かったのですが、この法律に基づく支援施策はそのカバー範囲が広く設定されています。この法律の目的は、中小企業の自助努力を基本とする経営革新支援および経営基盤強化の支援の実施とされており、以下の4種類の経営革新活動に関して計画書を作成し、知事の承認を受けることで図1のような助成措置を受けることができます。

【支援の対象となる事業活動】

  1. 新商品の開発又は生産
  2. 新役務(サービス)の開発又は提供
  3. 商品の新たな生産又は販売の方式の導入
  4. 役務の新たな提供方式の導入その他新たな事業活動
なお、実際に承認されている例を見ますと、HACCAPやISOなどの管理手法の導入など、必ずしもこの4つの類型に当てはまらなくとも企業が革新をしていこうとする活動であれば承認されています。

経営革新支援法では経営指標上の目標として、付加価値額もしくは従業員1人あたりの付加価値額について3年で9%以上、あるいは4年で12%以上、もしくは5年で15%以上の伸び率を実現することを求められています。なお、ここでいう付加価値額は次の式となります。
※付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費

◆計画承認の手続と留意点
図2:計画承認手続の流れ

経営革新支援法の計画承認の手続は図2の流れになります。経営革新計画承認申請書は所定の書式がありますが、その内容はいわゆる事業計画書だと思っていただければ結構です。経営革新支援法の大きな特徴は図2の7番目のステップにあるように、承認された計画が実際に進捗しているかどうかの調査が行なわれるという点にあります。これは決して管理のためのものではなく、着実に進捗していくことで企業革新を成し遂げてもらうための動機付けだと思っていただければよいでしょう。

なお、図1に揚げた助成措置ですが、これは計画が承認されただけでは使えません。実際には、承認された計画をもって、それぞれの助成措置を行なう支援機関等にうかがい、その支援機関等での審査を経なければなりません。時間的な無駄を排するためにも、計画申請書の作成前から自社が使いたいと考えている支援策を担当している支援機関等にうかがい、その趣旨と内容を事前に説明し理解をしてもらうよう心がけてください。

この経営革新支援法に限らず、中小企業支援策の申請が行政に承認されると、それだけで自社が立派になってしまったように考えてしまう経営者が意外なほど多いという困った事実があります。このような支援策の承認を受けたということは、単に支援してもよいと言われたに過ぎません。その支援策を有効活用して実際に企業が成長していけるかどうかということはまた別の問題になります。繰り返しになりますが、成長や革新のために支援策を有効活用することは有意義な手法であることは間違いありませんが、実際に革新のために必要とされるのは成長するための戦略であり、それに基づく日々の事業活動であることをくれぐれも忘れないようにしてください。

企業活動の原点は、商品やサービスを顧客に採用してもらうことで利益を出していくというマーケティング活動です。次回はこのマーケティング活動に関する革新方策を考えていきます。(アクセスさいたま掲載記事に加筆・修正)