【連載】営業強化戦略−勝ち続ける企業への変革−

■第5回 企画提案力を強化する(2) 商品提案力の強化

◆はじめに

前回は顧客ニーズを探索するための4つの質問について解説しました。今回は探索された顧客ニーズに対して、どのように自社の商品やサービスを提案していけばよいのかについて解説していきます。

◆企業は解決される状況に、消費者は実現される生活に対価を支払う

企業に対する大型商談やソリューション(問題解決)型営業においては、顧客の潜在的なニーズの顕在化の成功後に提案活動を実行します。
さて、この提案内容を検討する際に注意しておかなければならないポイントがあります。それは、顧客は商品やサービスそのものに対価を支払うのではなく、問題の解決策に対して対価を支払おうとしているのだという事実への考慮です。提案内容としては、商品やサービスの持つ機能や特徴に焦点を当てたものではなく、顧客が享受する具体的なメリットや解決される課題に焦点を当てたものが求められます。

売れない営業担当者の典型的な提案は、商品やサービスの機能・特徴、あるいは一般的なメリットばかりが強調されています。これでは顧客に「この担当者はただその商品が売りたいだけで、当社のニーズを理解していない」と思われ、せっかく与えられた提案チャンスが商談打ち切りタイミングになってしまいます。

消費財の場合も同様です。顧客は「モノ」そのものを買っているのではなく、モノによって実現される「生活やライフスタイル」あるいは「個人の価値観」を購入しているのです。特に住居や車、家電製品、インテリアなどの高額商品であればあるほど、モノそのものよりもそれによって実現される生活・ライフスタイル、あるいは顧客が持つ価値観に訴えかける提案が不可欠になります。

なおこのような、人々は特定の生活を営むために商品・サービスを選別して購買活動を行う存在であるという考え方を、従来の「消費者」と相対する概念として「生活者」と呼び、顧客の新たな捉え方として拡がりつつあります。

◆企画提案の4つの要素=「FABE」

さて、企画提案には必ず「貴社のこの問題の解決のためには」あるいは「あなたの生活をこのように充実させるためには」という、顧客の立場に立った内容が含まれていなければなりません。この視点を忘れずに提案を練るための簡単な検討手順として「FABE(ファブ)」というものがあります。これは以下に挙げる提案検討上の4つの要素の頭文字をとったものです。

第1の要素:特徴 −Feature−
その商品やサービスが持っている客観的な事実です。商品の構造や性能、価格、保証内容などがこれに当たります。特徴の多くは数値で示すことができるものです。
「特徴」は客観的な事実に過ぎません。顧客にとってみればカタログを読めばすむ話です。特徴の説明は必ず事実として提案に盛り込む必要はありますが、特徴が顧客の購買意欲に直結することはないと考えてください。

第2の要素:利点 −Advantage−
その商品やサービスの一般的なメリットや競合との比較優位性です。いわゆるセールスポイントと言われるものです。
「利点」の説明は営業担当者にとって非常に楽しいものです。実際、顧客も興味を持って聴いてくれます。多くの企画提案では、この部分に多くが割かれています。しかし、実際の商談ではこの「利点の説明」が往々にして落とし穴になってしまいます。
利点とは、あくまでもその商品・サービスが持つ「一般的な利点」です。特徴と利点の説明だけで提案が終わってしまうと、顧客に次のように言われ、商談は打ち切りになってしまいます。「なるほど、しかし当社には当てはまりませんね」「良さそうですが当社で必要になるのはかなり先のことになるでしょうね」等々。
商談を停滞させず前進させるためには、利点からさらに踏み込んで、目の前にいる顧客への具体的な「利益」の提案が必要です。

図1:提案は「FABE」の順で行うのではなく「B-FABE」で行う

第3の要素:利益 −Benefit−
質問を通じて顕在化したニーズに対して、その商品やサービスを採用することでどれだけの効果があるかについての説明です。
ここで示される「利益」は、営業担当者が推察したものではなく、必ず顧客自身が語ったニーズであることが重要です。特に企業向けの場合は、その利益が数値化できるものであることが必要です。
大型商談を成功させる唯一の要素が、この「利益に関する提案」です。顧客にとっての具体的な利益が示されない企画提案は、中身のない提案であると言わざるを得ません。

第4の要素:証拠 −Evidence−
補足情報として、可能であれば採用事例などを「証拠」として提示することも有効です。ただし、利益の説明内容が不十分な場合などに証拠ばかりを強調しすぎると、かえって顧客の不信感を増加させてしまいます。企画提案の内容として、証拠は必ずしも必須条件ではありません。

実際の商談では「FABE」という順で提案するのではなく、必ず「B-FABE」という順で行ってください。FABEの順で説明を行うということはカタログ内容の説明から入るということです。顧客は「一体何が言いたいのだ?こちらが説明した問題やニーズには興味がないのか?」と感じてしまい、悪い印象を最初に与えてしまいます。必ず最初にB=利益の説明から入るようにしてください。


次回は企画提案力強化の第3回として、プレゼンテーション能力の強化に関して解説します。