【連載】営業強化戦略−勝ち続ける企業への変革−

■第6回 企画提案力を強化する(3) プレゼンテーション能力の強化

◆はじめに
図1:プレゼンテーションの成否を決める3つのP

実際の商談では、客先の購買担当者の賛意を得られただけで発注には到ることはまれです。大型商談であればあるほど、経営者や購買担当重役などの同意の取り付けが必要となります。さらに大型案件であれば必ずライバルとのコンペになっていると考えた方が良いでしょう。その結果、企画提案営業の最後の関門として立ちはだかってくるのが、客先の関係者に対してのプレゼンテーションです。

プレゼンテーションの成功に必要とされる要素としては、「パーソナリティ(Personality:あなた自身)」「プログラム(Program:内容)」「プレゼン技法(Presentation skill:伝え方)」という3つのPが挙げられます。

◆第1のP:パーソナリティ

プレゼンテーションの場では聴き手(顧客)側に必ず、初めて会う参加者がいます。そして往々にして、彼らこそが提案の可否を決定する権限を有しているものです。参加者の中で、気心が知れていて提案内容にも確実に賛成してくれそうなのは、これまで商談を進めてきた担当者の方だけというのがほとんどです。

図2:ニュートラル

プレゼンテーションの場においてまず心がけなければならないのが、これからプレゼンテーションを行う「あなた自身」の第一印象を良い形で最初に植え付けるということです。どれほど良い提案内容であっても、商談相手として信頼するに足る人間であると思われなければ耳を傾けてもらえません。ズーニンというアメリカの心理学者は「人の第一印象は最初の4分で決まる」と言っています。プレゼンテーションは通常、1回かぎりであり、限られた時間しか与えられません。第一印象を後々覆す機会はないと考えるべきです。プレゼンテーションにおいては自分の提案内容に自信を持ち、堂々と、覇気を持って臨みましょう。人前でしゃべるのが苦手と思っているならば、まずは姿勢を良くしてみましょう。これだけで、声が通り、自信有り気に見えます。相手にとって有益な提案を行うのですから、気後れする必要などありません。

◆第2のP:プログラム
図3:プレゼンテーション構成の2つの基本パターン

顧客側の参加者のほとんどが、あなたが行う提案をプレゼンの場で初めて聞きます。先方の担当者から事前に根回し等が行われていたとしても、それはあくまでも担当者の立場としての根回しです。プレゼンテーションを行う場合は、事前知識などない全くのゼロの状態の参加者に提案していくのだと考えて、全体の内容を次のような基本パターンに沿って構成していきましょう。

【SDS法】
比較的簡単な提案内容の場合に用いる、全体を3部構成とする手法です。最初にこれから話す提案内容の全体要約(Summary)を話し興味を引きます。次に提案内容や商品などに関する詳細の説明(Details)を行い、最後にもう一度提案の要約(Summary)をまとめて強く印象付けて締めくくります。

【RPEP法】
提案の背景となるニーズ等について詳細に説明したい場合に使います。最初にまず提案の結論(Point)を述べます。次にそのような結論に達した理由(Reason)を詳細に説明し、提案を受け入れたらどうなるかを聴き手がイメージしやすいような具体的な事例(Example)を披露することで参加者の同意を形成していきます。そして最後にもう一度強調したい要点(Point)を述べて締めくくります。

◆第3のP:プレゼン技法

最近はパワーポイントなどのプレゼンテーション用ソフトが充実しており、誰でも素晴らしい視覚効果をもった資料が作れるようになりました。その結果、少々派手なプレゼンテーションを行ったところでライバルとは差がつかなくなってきています。資料の見た目を競うよりも、プレゼンテーター(つまりあなた)の伝え方の技術の方を重視すべきです。

UCLAの心理学の教授であるメラビアン氏の調査によると、コミュニケーションを構成する要素は、(1)言葉そのもの(話している内容)が8%、(2)話し方(声の調子や高低、速さなど)が37%、(3)非言語的表現(ボディランゲージや服装、アイコンタクトの頻度、表情など)が55%という割合で構成されているということです。この構成比から見ても、非言語的表現を重視しなければならないということはわかると思います。

これはなにも派手なジェスチャーをしろということではありません。聞き手の注意を喚起するために、ここはというポイントで決定権を有すると思われるメンバーに対し意識的にアイコンタクトを行っていくよう心がければよいのです。たったこれだけのことでも、相手はより興味を持ってくれるようになります。自信と誠意を持って相手に語りかけ、プレゼンテーションを成功させてください。


次回は1対1の交渉や説得の際の技術について紹介していきます。