【連載】営業強化戦略−勝ち続ける企業への変革−

■第12回 勝ち続ける組織の条件

◆はじめに

本連載もいよいよ最終回となりました。今回はこれまでの内容を踏まえて、常に勝ち続けていく営業組織の条件を整理していきます。

◆営業組織に求められる「8つの適切さ」
図1:営業組織に求められる「8つの適切さ」

勝ち続ける営業組織に求められる条件は「8つの適切さ」としてまとめられます。

【1.戦略立案の適切さ】
営業部門の活動はただ単に売上高を上げればよいというものではありません。企業の将来の発展を目的として、自社の経営ビジョンならびに中長期戦略の実現を、ターゲット顧客の開拓・深耕、戦略商品の市場浸透を通じて計画的に行っていくことが営業部門の本質的な役割です。

そのためにはマクロ環境がどのように変化しているか、市場環境や顧客動向はどうか、流通チャネルやサプライヤーはどうか、ライバルはどのように動くと予想され具体的にどのような活動を行っているかなどについて十分に把握した上で、自社がどのようなマーケティング戦略を立案すべきかを全社的に認識する必要があります。

【2.活動計画の適切さ】
勝ち続けるためにはPDCA(Plan−Do−Check−Action)のマネジメントサイクルが必要不可欠です。このなかで、経営者ならびに営業部門管理者が特に重視すべきなのがP=計画立案です。中長期の戦略を見据えた上で、当面の部門の活動計画を具体的に立案していくことが求められます。

また活動計画の内容には、営業部門に求められる「新規開拓」「関係強化」「提案営業」「関係維持」という4つの活動が適切に含まれている必要があります。

【3.目標管理の適切さ】
営業担当者に活動を行わせるための前提条件として、各員に適切な目標が設定・付与される必要があります。目標に合理性があり、かつ担当者が納得できるものである必要性については言うまでもありませんが、さらに勝ち続けるために経営者ならびに管理者には、常に現状より高い具体的な目標の提示と、それを乗り越えるための明確な活動方法の示唆が特に要求されます。

【4.活動管理の適切さ】
営業部門において、まず行うべきC=管理は具体的活動内容の管理です。営業日報やミーティングなどを通じて把握可能なマネジメント体制になっているか、把握した活動は計画通り実践されているかどうかの判断基準は明確か、活動が停滞している場合などの原因分析を上司と部下が協働して行う体制になっているかなど、活動の実践と管理が部門として機能するようになっていなければ成果は期待できません。活動に関して「各人の裁量に任せている」などというのは管理者あるいは経営者の怠慢でしかありません。

【5.顧客管理の適切さ】
顧客ならびに見込み客の情報に関しては、企業全体で共有化されていなければなりません。顧客情報の管理に関しては一定のルールを定め、担当者以外の人間に対しても閲覧可能な状態にしておくことが求められます。ただし顧客情報の外部漏洩等が発生しないよう厳格な管理ルールの設定が当然求められます。

【6.商談管理の適切さ】
個々の商談の進捗管理に関しても、営業担当者に一任せず、しっかりと管理することが求められます。そのためには、自社の営業における商談ステップの分析とステップごとの評価ポイントの規定、報告や相談の場の設定ルール、上席者や他部門の担当者への協力依頼の方法やタイミングなど、明確でわかりやすい基準やルールを設定し、部門で共有化しておく作業が事前に必要とされます。ただ単に受注額と受注時期の予想だけをヒアリングしているようでは商談管理を行っているとはいえません。

【7.予実管理の適切さ】
営業部門に求められる目標には、売上高や目標利益額、目標販売数量、顧客開拓件数などが挙げられますが、これらは基本的にすべて定量的に把握されるものです。予実管理(予算と実績の管理)としてこれら目標の達成状況を数値的に把握することは非常に簡単です。しかし数値的に把握しただけでは「達成した、達成していない」という事実の把握にしかなりません。原因の分析と対策の立案がなければ勝ち続ける組織にはなりえません。

未達成の場合その要因として、顧客数の絶対的不足、競合品対策の不備、商材の市場不適合、担当者のスキル不足、あるいは予算がそもそも非現実的であるなどさまざまなものが想定されます。要因分析を行なわないまま「担当者の活動不足」あるいは「商品の魅力不足」などといっているようでは、次月度以降も予算未達成が続くことは自明の理です。要因をしっかりと分析・把握し、未達成分を上乗せした次月度以降の予算達成方法を具体的に検討し実践する体制こそが必要とされます。また、達成できている場合も予算が過少ではなかったかなどの分析と対策は必要不可欠です。

【8.人材育成の適切さ】
新規顧客にアプローチを行うのも、優良顧客に対して提案営業で大型案件を仕掛けるのも、新たな流通チャネルに自社商品の取り扱いを働きかけるのもすべて担当者という「ヒト=人材」です。例えば売れる仕組みづくりをいくら進めようとも、あるいはIT環境をいかに整備されようとも、それを実際に営業活動として運営・活用する人材そのものが強化されなければ、企業の営業力強化は実現できません。そして人材の育成において、OJT(職務を通じた教育)に勝るものはありません。営業の現場での実践的教育を企業としていかに効率的かつ効果的に行っていくかがこれからの企業の総合力そのものの差になるといっても過言ではないでしょう。経営者・管理者が現場と言う人材育成の前線に立ち、自ら範を示していくことが求められます。


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