■団塊&シニアマーケットを狙え! 第2回:団塊の世代を再確認する1「団塊の世代の人口構成面での特徴」

◆はじめに

今後のシニアマーケットを考えていく上で避けて通れないのが、いわゆる『団塊の世代』への対応です。 しかしながらこの団塊の世代とは本当はどのような世代なのかについては、曖昧なイメージで捉えられていることが多いようです。また、何故この団塊の世代に着目しなければならないのかについても、いわゆるステレオタイプの捉え方が大多数です。 このようなステレオタイプの捉え方でビジネスを検討してしまうと、80年代後半から90年代前半に盛り上がり、結果として大多数の企業では失敗に終わった『シルバービジネス』あるいは『熟年世代』と同じ轍を踏むことになります。 団塊の世代に対してステレオタイプの捉え方で済ましてしまうことは、個々の企業が事業展開していく上で必要なターゲット・セグメンテーションに基づく、明確化された顧客への着実な対応を阻害することとなります。 このような観点から今回は団塊の世代とはいったいどのような世代なのか、この団塊の世代が何故シニアマーケティングで重要なのかを再確認していきます。

さて、団塊の世代をマーケティングの側面から捉える際には、次の3つの観点への考察が必要となってきます。

  1. 人口構成上の観点
  2. コーホート(世代)の共通体験上の観点
  3. 現在のライフステージ上の観点

今回から3回にわたり、上記の観点から団塊の世代を検討していきます。

◆人口構成上の観点:最大のボリュームゾーンである団塊の世代

団塊の世代とは厳密には、1947年(昭和22年)から1949年(昭和24年)の3年間に生まれた806万人という巨大な人口の塊を指します。シニアマーケティングを検討していく上では、この3年間の人々と学校生活や家庭生活を共に過ごしてきたことでコーホート(世代)的にも同一であると考えられる後ろ側の2年間を加え、1947年(昭和22年)から1951年(昭和26年)の約1000万人を対象として考えるのが通常です。現在の日本の人口が約1億3千万人ですから、全人口の8%弱を占める巨大な集団となります。

団塊の世代を考えるときには、この急激な人口増加が起こったという事実が重要なファクターになります。
この世代は終戦後に生まれた世代であり、その直前の世代と比較すると急激に世代人口が増加しています。具体的には1947年生まれの人口は、その前年の46年生まれと比較して59.6%増加しています。それ以前の出生人口より約6割多い集団が約5年間続く、これが団塊の世代が注目される最大の要因です。

つまり、それ以前の世代を対象とした社会的インフラが、そのキャパシティでは対応できなくなる、あるいはそれ以前の世代人口を前提として行われてきた社会生活などの運営ルールが変更を余儀なくされてしまう現象が、彼らの成長に従って必ず発生してしまう世代だということです。

例えば、彼らが学齢に達すると、それまでの学校数、教室数、教師数など全て不足してしまう現象が発生するわけです。これが学校の新設開校を呼び、一方では名門校と呼ばれる学校への入試倍率が急に高くなり進学塾などの需要が急増する、結果として「受験戦争」というような言葉が生まれ社会の価値観そのものが変化していくという状況を引き起こしました。つまり、団塊の世代とは彼ら自身の意思に関係なく、必ず変化を引き起こしてしまう人口集団であるということです。

そして今、この団塊の世代が注目されているのは、彼らがライフステージ上の大きな変化期に突入しようとしているからです。
つまり、『夫が定年退職した後の社会生活・家庭生活』という新たなライフステージに、今後3年から5年程度で否応なく対処せざるを得ない時期に来ているということです。
しかもそのような状況にあるにも関わらず、今回もまた社会的インフラの整備はもとより新しい社会の運営ルールなども団塊の世代という人口ボリュームに対応できるような十分な準備がなされていません。このような状況は今後、社会全体に大きな混乱と変化を生じさせることが予想されます。
そしてこのことは、企業側は今後のシニア市場への取り組み方について、今後3年から5年の間に従来とは大きく方向転換させていかなければならないということを示しています。