■2007年、団塊の世代マーケットを狙え!

◆いよいよ本番になる2007年問題

団塊の世代の定年ラッシュがいよいよ始まります。一般企業では大量退職による生産性の低下や技術・ノウハウの流出などが懸念されています。一方、消費マーケットに目を向けると、退職金による可処分所得の一時的な増加、その後に続く年金生活への移行という金銭面での変化、生活時間帯や生活地域の変化による消費活動の変化など、大規模な地殻変動が起こってくるものと思われます。

団塊の世代とは?
団塊の世代とは、正確には1947年(昭和22年)から49年(昭和24年)の3年間に生まれた約800万人の世代を指します。日本の人口が約1億3000万人ですので、約8%=12人に1人が団塊の世代であるということができます。

団塊の世代の最大の特徴は「数が多い」ということです。実際これまでも、彼らのライフステージが変化した時には、(1) それまでとは異なる価値観が発生し、(2) 圧倒的なインフラ(社会基盤)不足が起こり、(3) 結果として消費マーケットが大きな変化を起こしてきています。具体的には、彼らが小学校に上がった時には学校数が不足し学校建設が急ピッチで進められ、大学進学時には「受験地獄」という言葉とともに教育産業が発展、社会人になると分譲住宅や自家用車が飛ぶように売れていきました。

団塊の世代が動くことは、すべて社会現象となったといっても良いでしょう。ビートルズ世代、全共闘世代、フォーク世代、モーレツサラリーマン、アンノン族、クロワッサン族、ニューファミリー、友達夫婦・・・。これほどさまざまな名前をつけられてきた世代は他にはありません。

団塊の世代の消費の特徴は?
この世代には戦後日本の全ての消費生活を経験しているという特徴があります。特に彼らは戦後の高度成長期を身をもって経験した世代であり、それ以前の世代、つまり今現在の60歳以上のシニア層と比較すると豊富な消費経験を持っています。消費経験が豊かであるということは、物に対する知識やこだわりがその分強いということを表していると考えてよいでしょう。

また、彼らは平均で約2,000万円程度の金融資産を現在持っており、さらにこれに数年以内に手にする退職金が加わります。団塊の世代の多くが既に住宅ローンも払い終わり、子供の教育費用もひと段落することとあわせて考えれば、今後は大型消費の可能性を持つ優良顧客層として大いに期待されます。

消費マーケットにおける2007年問題とは?
このような団塊の世代が、消費意欲が低く、品質へのこだわりよりも低価格志向が強いとされてきたシニアマーケットに登場してきます。従来のシニア像とは異なる新たなシニアが大きな塊となって押し寄せてくる、これが消費マーケットにおける2007年問題です。

◆2007年問題に対する業界の動き

このような団塊の世代のライフステージ変化に対する対応は既に始まっています。代表的な取り組みをいくつか紹介しましょう。

旅行業界
旅行業界では既にこの世代を積極的に取り込もうとする動きが活発です。50歳以上を対象とした会員制度や、この世代にターゲットを絞った無料相談窓口の開設、季刊誌や専門誌の発行など、時間とお金に余裕のある団塊の世代を優良顧客として囲い込もうとさまざまな試みが行われています。

フィットネス業界
フィットネスクラブの会員の3分の1は実は50歳以上です。60歳以上に関しても6年前に比べると4倍以上に膨れ上がってきています。従来のメインターゲットであるOLやサラリーマンとは生活時間帯が異なるシニア向けに昼間のコースメニューを強化したり、中高年だけが参加できるレッスンを設けるなどさまざまなサービス展開を図っています。

スーパー・コンビニ業界
コンビニエンスストアの高級おにぎりを購入する中心顧客層は、中高年世代です。50歳以上の顧客がおにぎりを購入する金額は、05年度で前年比約3.5倍となっています。また、夫婦ふたり世帯が多いシニア世代向けに対応して、スーパーマーケットなどの惣菜類もファミリーサイズから個食サイズへの切り替えが進んでいます。

自動車・家電業界
この業界では、「ユニバーサル・デザイン」がキーワードとなってきつつあります。ユニバーサル・デザインとは、誰もが使いやすく(高齢者や障害者だけでなく健常者も使いやすい)されたデザインのことです。シニアになるということは必然的に身体能力の衰えが発生します。身体能力の低下をサポートしつつ、いかにも高齢者向きというデザインではなく、見た目にも優れた自動車や家電製品を次々に市場に提供してきています。

◆団塊の世代を集めて優良顧客にする4つのコンセプト

ここまでの事例紹介からも見えてくるように、団塊の世代を集客し、優良顧客として囲い込んでいくためには、彼らに明確に訴えかける自社・自店のコンセプトがなければなりません。その代表的な切り口としては、4つのコンセプトが挙げられます。

1. エイジング(加齢)
加齢による身体的な変化をエイジングといいます。従来のエイジングに関する考え方は「弱者」あるいは「要介護者」という画一的な捉え方になっており、事実これまでのシニア向けビジネスではこの点にのみ焦点を当てたものが多かったように思われます。
しかし、エイジングに関しては個人差が大きく、「年を取れば弱者である」という思い込みが強いと、実際のニーズと乖離する可能性が高くなります。特に団塊の世代でいうならば、エイジング面での「弱者」はその全体の半数にも満たないかもしれません。
エイジングに着目した場合に打ち出す方向性は大きく2つになります。

2. ライフステージ
例えば従来の資産運用計画などでは、リタイア後は「老後」と捉え公的年金と個人年金を定期収入とし、それ以外にどのような資産を若い時期に形成しておくべきであるかというような単一的なライフステージ観しかありませんでした。
しかし、団塊の世代のリタイアとは人生のセカンド・ステージ、サード・ステージという新たな取り組みの時期であると提案すべきです。また、一般的に女性は50代前半にセカンド・ステージへの取り組みを開始し、男性は50代後半あるいは60代前半にセカンド・ステージに対応しようとするなど、同じ家庭で過ごしていても性別によってライフステージへの取り組み方が異なるという事実が示しているように、従来の「老夫婦」という捉え方では実態を把握していないことになります。
ライフステージに着目した場合のコンセプトは、次の2つに分かれます。

3. コーホート(世代体験)
何に価値を見出し、どのような商品やサービスを好むかということには、実はどのような価値観を持っているかが大きく影響を与えます。そして、そのような価値観は現在の年齢で決まるのではなく、どのような生活体験を経てきた世代なのかということが大きく影響します。団塊の世代はこれまでのシニア層とは全く異なった豊かな世代体験を持っており、ここに彼らの消費者心理に訴えかけるチャンスが多く含まれています。

4. コミュニティ
団塊の世代(特に男性)は、その人間関係において会社という枠組みの中での活動が主体となってきました。これ以外となると配偶者が唯一の頼りであるというのが偽らざる現実でしょう。最近問題になりつつある、定年退職した途端まったく社会との接点をなくしてしまい、いつも配偶者の後ろをついて回るという状況が今後加速する可能性が高いと思われます。また、一方では従来見られなかったような形での「仲間作り」という活動が活発に行われていくようになる可能性もあります。事実、最近のボランティア活動への参加の目的が「社会への貢献」から「同じ興味を持つに人々との交流」に変化しつつあるという調査結果も存在します。

従来のシニアとは異なり、活動的かつ意欲的であり、品質にこだわりを持ち、デジタル化によって情報収集力も格段に高い団塊の世代が、企業人であった頃とは異なるフィールドで活動し始める2007年は、もうすぐそこです。自社・自店が何を提供するのか、どのような生活を提案するのか。彼らに発信するメッセージを鮮明にし、この大きなビジネスチャンスをつかみとってください。